2016年9月30日金曜日

感覚を手放す

音楽を演奏している時は、色々な動作や思考を行っています。そしてそれは感覚として体が覚えていき、演奏を支えていると思います。

そしてその一つ一つはこれまで練習してきた事の積み重ねとしてその人の音楽に表れてきます。

最近実際に感じた事の中でとても印象的な経験がありました。
師匠とのレッスンの中でブラジルの打楽器タンタンを叩く機会があり、一応叩き方は知っているのでその手順通りに演奏しました。
ところが、まったく師匠の演奏に合わず途中で演奏を止めてしまいました。
仕切り直しで演奏しようと思ったのですが、どう叩いていいのかわからずしばらく頭の中がとても混乱したのを覚えてます。
そこでまず一音を出すことだけに集中して少しづつ音を出していきました。
するとこれまでとはまったく違った感覚で今までとは全く違う演奏をする事ができました。
振り返るとそれまでは手順を覚える事を目標にしてその動作が上手くなる為に感覚を磨いてました。
ところがそれでは通用しない状況がおこり、
その感覚を止めて、まずは一音に集中して、そこから繋げていく感覚を磨いていきました。

一度手に入れた考え方や感覚はある段階まで来るとそれはその人にとって有益なものではなくなり、成長を阻害する要因になってしまう事もあるという事を実感しました。
そしてそれまで手にしていた感覚を手放して、新しい感覚を取り入れる事でより良い演奏をする事ができると言う事を体感できました。

自分がこれまで大事にしてきた感覚や考え方なのでそれを手放すと言う事はとても大変な事です。
手放した瞬間は大きな混乱が生じます。
生まれ変わった感覚に近いのかもしれません(笑)
赤ちゃんのようにただ純粋に何かを求める事で新しい感覚を獲得できる気がします。
恐らくその状態になれば、これまで手にしてた感覚や考え方もまた違ったものとして、頭と体の中にインプットされていくのではないかなと思います。

これは音楽に限らず、普段の生活のいろんな場面で起こる事な気もします。

音楽は色んな事を教えてくれますね。